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ミスが多くてボロボロだったHSPの会社員が表彰されるまで(4)

ミスが多くてボロボロだったHSPの会社員が表彰されるまで

04.仕事でミスが続きADHDを疑って精神科に行ったらHSPだった

前回の続き。

仕事でのミスの多さは、自分の性質(HSP)によるものだったと判明する話です。

 

ストラテラを飲み始めてから3ヶ月ほどが経った。

薬を飲み始める前は、周りの話し声や、電話が鳴ったり誰かが訪ねてきた音など

あらゆるものに意識が行って、目の前の仕事に集中できず、

常にパニックを起こしているような状態だった。

でも、薬を飲んだことで、目の前の仕事に集中することができるようになった。

それからは目に見えてミスが減っていった。

 

嬉しい効果ではあったのだが、ミスが減ったのはあくまで薬のおかげ。

「薬を手放せなくなったらどうしよう」という不安が大きくなった。

 

さらに当時はストラテラの薬価が高く、ジェネリックもなかった。

市町村の自立支援医療を申請しても、月に約3,000円はかかっていた。

依存性への不安と、経済的な負担。

いつか、薬がなくても大丈夫になりたい。

薬だけに頼るのではなく、他にもできることがあるんじゃないだろうか。

 

そもそも、私がこれまでミスが多くて悩んでいた原因はなんだったんだろう。

ADHD(注意欠如)だと思って精神科を受診したが、そうではないと先生に言われた。

気になって相談してみたら、こんな答えが返ってきた。

 

「古志さんは、お話から察するにHSPだと思いますよ。

HSPとは、ハイパーセンシティブパーソンの略です。ご存じですか」

HSP。ネットの記事で見たことあるぞ。

「あ、聞いたことあります。繊細な人?ってことですか?」

「そうです、そうです。

集中しようと思っても、注意力が持続できないことが多かったりしますよね。

HSPは、小さな刺激をたくさん受け取ってしまうんです。

そのせいで、不注意や注意欠如がみられていたのだと思います」

「ははあ、そうなんですか」

「HSPは心理学の用語なので、病名ではありません。

ただすごく刺激を受けやすいので、しっかり休養をとることが大切です」

 

HSP。

家に帰ってから、HSPについて調べてみた。

 

「英語では、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)といい、「ひといちばい繊細な人」という意味で、この頭文字を取ってHSP(エイチエスピー)と言います。これは90年代のはじめ、繊細な人についてのHSP研究の第一人者である心理学者のエレイン・アーロン(ElaineAron)博士によって付けられた「人の気質」を表す名称です。

アーロン博士によると、人口の約20%の割合、つまり5人に1人の人はHSPだといいます。」

引用元:うつ病治療の新宿ストレスクリニック|HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)気質とは?~コロナ禍でHSPはうつ病になりやすい!?~

 

ひといちばい繊細な人、ということか。

確かに、小さい頃から「感受性が強い」と大人から言われることはよくあった。

 

「HSPの特徴や気質のチェックリスト

HSPの方は、周囲の状況にとても敏感です。

アーロン博士によると、HSPには「DOES(ダズ)」と名付けた4つの特性があるといいます。

 

【Depth of processing】考え方が複雑で、深く考えてから行動する

一を聞いて、十のことを想像し、考えられる能力がある

調べ物をはじめると深く掘り下げ、その知識の広さを周りに驚かれる

お世辞や嘲笑をすぐに見抜いてしまう

物事を始めるまでにあれこれ考え、時間がかかる

その場限りの快楽よりも、生き方や哲学的なものごとに興味があり、浅い人間や話が嫌い

 

【Overstimulation】刺激に敏感で疲れやすい

人混みや大きな音、騒音が苦手

友達との時間は楽しいものの、気疲れしやすく帰宅すると、どっと疲労している

映画や音楽、テレビ番組、本などの芸術作品に感動して泣く

人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない

些細なことに過剰なほど驚いてしまう

 

【Empathy and emotional responsiveness】人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい

人が怒られていると自分のことのように感じ、傷ついたり、お腹が痛くなったりする

悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣する

人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っていることがわかる

言葉を話せない幼児や動物の気持ちも察することができる

 

【Sensitivity to subtleties】あらゆる感覚がするどい

冷蔵庫の機械音や時計の音が気になってしまうほど聴覚が敏感である

強い光や日光のまぶしさなどが苦手

近くにいる人の口臭やタバコの臭いで気分が悪くなる

カフェインや添加物に敏感に反応してしまう

肌着のタグなどチクチクする素材が我慢できないほど気になる

第六感がはたらき、よく当たる

引用元:うつ病治療の新宿ストレスクリニック|HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)気質とは?~コロナ禍でHSPはうつ病になりやすい!?~

 

この4つの特徴を読みながら「うわっ」と思ってしまった。

全てが当てはまっていたからだ。

小さい頃から常に何かを考えていないと気が済まない性分で、

付き合っていた人に「考えすぎだよ」と言われて喧嘩になったことがあった。

映画や小説などの物語を見たり読んだりすると、感情が揺さぶられて、すぐ涙が出る。

人の悩みを相談されたり、愚痴を聞いたりするのも、嫌というわけではないのだが、すごく疲れる。

相手の感情が流れ込んでくるような気がして、話し終わったあとはぐったりしてしまうのだ。

それから聴覚が過敏気味で、特に鼻をすする音がひどく不快に感じる。

時計の音も気になるので、家の中の時計は全てデジタルや秒針のないものにしている。

例を挙げ出したらきりがないほど、私はHSPの特徴に当てはまっていた。

特に、【o】刺激に敏感で疲れやすいことと、【E】人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい という特徴は「まじでそれ」だった。

 

ああ、そうか。なんだか不思議だ。

HSPの特徴を調べていくうち、頭の中でこんがらがっていた悩みが、紐解かれていくような感覚になった。

 

自分は「ミスが多くてダメなやつ」と思っていたけれど、ただ刺激を受けすぎて疲れていただけなのかもしれない。

「すぐに気が散って集中力が維持できなかった」のは、聴覚過敏が原因だったんだ。

 

私が仕事でミスをしていた原因は「能力が低いから」ではなく、

生まれもった「気質」がそうさせていたのか。

周りの人と比べてはダメだと自分を責めてばかりいたけれど、

持って生まれた性質が多くの人と異なっているのだから、

そもそも誰かと同じようにする必要はなかったのだ。

私がずっと「普通の人より劣っている」と思っていたのは、自分が不得意なことにフォーカスをあてて、そう思い込んでいただけなのかもしれない。

あらゆる刺激に満ちた家の中で、学校で、会社で。

じつは自分、かなり頑張ってきたんじゃないかという気がしてきた。

これからは「がんばって普通にしよう」と思わずに、

「自分が生きやすくなる」方法を探そう。

そう思えた。

 

次回、HSPの会社員が仕事のミスを減らすためにやったこと編。