ミスが多くてボロボロだったHSPの会社員が表彰されるまで
01. ミスの多い私は大人のADHD(注意欠陥)?
①自己紹介・業務内容
入社5年目/商社/中小企業/事務職
②私は「ミスの多い人」
当時の私は、新卒で入社5年目の会社員だった。
30歳も目前に控え、仕事にも慣れ、プライベートも楽しむ余裕が出てくる頃だ。
しかし、私の場合は。
5年間、毎日同じ仕事をしていたにも関わらず、
なぜか新人の頃よりミスが増えて、苦しんでいた。
発注業務での商品の色間違いや、数量間違いのミス。
電話応対での聞き間違いや、社内で受けた指示を忘れ得意先に迷惑をかけることもあった。
ミスをすれば、先輩からは注意を受け、上司からは叱責される。
「叱られて当然だ、私はミスが多いのだから」
やらかして、落ち込んでは、ミスの報告書を書く日々。
平日は仕事のことで頭がいっぱい、定時で帰っているのに疲労困憊(うっかり韻を踏んでしまったな)。
休日も、仕事のミスを引きずってしまい鬱々として気が休まらない。
「自分はなんてダメなんだろう。どうにかしたい」
そんな思いで、同じミスを回避しようと焦ると、今度は別のところでミスをしてしまう。
その日も、上司にミスの報告をしていた。
ちなみにこの上司、パワハラで左遷をされた過去がある。
自分の思い通りにならないとすぐに声を荒げるので、
上からは嫌われ、下からも尊敬されぬ組織人であった。
あと文脈とは関係ないが、上司はハゲている。
頭頂部には毛がないが、前髪部分だけは残っている。
例えるならキューピーちゃんだ。
中年太りで、ちょうどお腹周りのシルエットも似ている。
気の毒である。全てハゲあがってしまえば、かろうじてキューピー完全体は免れたというのに。
ミスの報告が終わって、地獄のキューピーからひとこと。
「もっと落ち着いて仕事して。どうしてそれができないの?」
と言われた。
ミスをしたのは自分の責任だ。
でも当時の私は、それを言われた時、奈落の底へと突き落とされたような心地がした。
「もっと落ち着いて仕事して」
したくても、できない。だから苦しんでるんじゃないか。
「どうしてそれができないの?」
それが分かれば苦労しない。
そんな反論が頭をよぎる。
しかし、やっとの思いで言葉を絞り出した。
「はい、申し訳ありません」
それを聞いた上司は
「誰にでもミスはある。あなたは、仕事ができないわけじゃないんだから」
と言った。
だけど、私の心にはちっとも響かなかった。
残りの仕事を片付けて、車で帰路に就く途中。
信号待ちの車内で、ふいに涙が溢れて止まらなくなった。
思い返せば、私の人生にはこういう、小さいミスがつきものだった。
小学校の頃は、しょっちゅう学校に持ち物を忘れて、母に届けてもらっていた。
高校からは単位制で、いつも勉強にとりかかるまでに時間がかかって、どの単位もギリギリだった。
色んなバイトをしたけれど、小さなミスをたくさんした。
接客業をしていた時は、決まった時間の掃除を忘れたり、
お客さんが買った商品の一部を袋に入れず渡してしまったり。
人に迷惑をかけることも、自分で自分の首を絞めてきたこともあった。
プライベートでも、忘れ物をしたり、部屋が片付けられず物を無くしたりすることも多かった。
「そそっかしくてゴメン」とか「ちょっと抜けてて」なんて笑って誤魔化していたし、
優しい友人たちや家族には「仕方のないやつ」と許してもらってきた。
周りの人たちには、もちろん感謝をしている。
でも、その場で取り繕うように笑っていても、私の心の中は全然違った。
自分はどうしてこうなんだろう。
なんてダメなんだ。
なぜみんなと同じことができない?
もっとしっかりしなきゃ。
でもきっとまた、同じことを繰り返してしまう。
私の人生はこれからも、ずっとこんな風に、ダメで、苦しくて、
どうしようもないままなんだ。
そうやって小さなミスをする度に
絶望しては、自分を責め続けていた。
今の仕事が向いてないのは、入社当時から感じていた。
キューピー上司の顔を見るたび、何度も転職を考えた。
正直いまの会社は、就活してて1番最初に受かったからなんとなく入社してしまっただけで、特段思い入れもない。給料も安いし。
でも転職しようとするたび、こんな考えが浮かぶ。
「ミスが多くて、ダメな人間なのだから、
転職をしたところで、きっとまた同じように、人に迷惑をかけてしまうだろう」
私は怖くなった。
きっと、どんな仕事をしたって、最終的には自分がダメだという壁に当たるのだ。
未来が閉ざされてしまったような、絶望の中にいた。
それでも、目が覚めれば仕事に行かなければならない。
朝起きるたびに、憂鬱だった。
それでも生きるため、ダメな自分を突きつけられに、仕事へ行かなきゃならない。
そんな中、仕事中に眺めていたヤフーニュースのトピックスに、
「発達障害」という見出しを見つけた。
その記事がこちら。
発達障害。
なんとなく名前は知っていたし、自分も「もしかしたら」と思うこともあったけれど、今まではよく知らなかった。
自分はただのダメ人間なんだと思っていたし、障害とは縁遠いと思っていたのだ。
でも記事を読んだ当時は、もう自分のことにしか思えなくなった。
ちょうど、当時の年齢も28歳で、インタビューを受けている方々に近かったこともあり「ああこれは、私もそうなのかもしれない」と思い至った。
家に帰ってから、ADHDについて調べてみた。
家の近所に、専門医がいる精神科があった。
私はADHDなんだろうか。
だけど、もし違っていたら?
まあそうなったら、寝付きも悪いことだし、
入眠剤だけでも貰って、帰ってこよう。
藁にもすがる思いで、予約の電話を入れた。
次回、震えながら精神科へ!
お楽しみに。