すごくいい本だった!
会話のストレスを減らすコツを、噛み砕いて説明してくれる本。
会社や恋人、夫婦間でのコミュニケーションを、おばけが親身になって(ときどきバッサリと、でも愛情を持って)教えてくれる。
この本に登場する「感受性高すぎでコミュニケーション下手すぎる独身女子」が自分すぎて、冒頭から笑っちゃった。
まさに私のための本だ、これは。
また読み返せるよう、大事なところをメモしておく。
※記事の中では、内容に触れる記述がありますので、ネタバレを避けたい方はご注意ください。
第一章 相手との会話の軸を合わせてみるのだ
会話がすれ違ったまま終わって、後でモヤモヤすることが、よくある。
それは「相手との会話の軸がずれていたから」だったと、この本が教えてくれた。
特に年齢や性別が違うと、会話がうまくいかないことが多かったから、すごく納得がいった。
p30「軸に沿った返答や掘り下げを行うことができれば、会話が散らからず、深く質量のある会話が展開できるようになる。
また相手からも(中略)高い評価を得られる」
会話の中身も必要だけど、共通認識を深めたり、共感することがめちゃくちゃ大事なのだと分かった。
そもそも自分は、会話自体を難しく考えすぎてたかもしれない。
もっとシンプルでいいのかも。
第二章 言葉と行動から相手を見極めるのだ
人を見る目がない、と感じることがある。
いわば「うわべの言葉にダマされてしまっている」状況だ。
私が長く信頼している人や友人は、共通の本が好きな人が多いのだけど、
それにすごく納得した章だった。
p55 相手が声高にアピールしてくる情報は、相手がこちらにどう思われたいかのイメージ戦略が入っているので参考にならない。人を見極めるには、その人の周辺情報と照らし合わせてみよう。(中略)
・相手の話す言葉のレベル
・会話のレパートリー
・話題の質
・本やメディアから本人が求める情報
第三章 暗黙のコミュニケーションを避けるのだ
親しい人とすれ違いが起きたり、身近な人との会話にイライラすることがある。
ただ、これに関して私は、あんまり怒りを覚えることがなかった。
むしろ、言葉にして伝えないのが悪いんじゃない?と思うことの方が多かったので、
p68「単純に『自分の意思や考えを伝える大事なコミュニケーションをサボっている』以外の何物でもないのだ」
という一文にめちゃくちゃスカッとした。そうそうほんとこれ、夫婦も親子も同僚も上司部下も、あらゆるシーンで言葉が足りてない!コミュ二ケーションをサボってる人が多い!これ「察する」ことを美徳としている日本文化でよくある現象だよ。「わかってくれるはず」は甘えなんだよなあ。
特に男性に対してその傾向を強く感じていたから、
p69「男性は同僚であれ恋人であれ夫婦であれ、親しくなれば親しくなるほど相手との口数を少なく済ます生き物なのだ」
という一文にもめちゃくちゃ納得がいった。これほんとそう感じる。
友人からの夫婦間の不満や愚痴、職場で男性同士の会話なんかを聞いてても、もっと会話でお互いの考えを擦り合わせれば、うまくいくこと多いんじゃない?と思う場面が多い。
相手を大事にする(愛する)= 相手とのコミュニケーションをサボらない
って方程式、大事にしていきたい。
あと!この本で一番スッキリしたこと。
p70「男性が勝手に盛り上がって、一方的に話を掘り下げて、誰も理解してないまま結論の至っていること、よくあるのだ?あれは、本人からしてみるとゴールに向かって理路整然と話をしているつもりなのだ」
これほんとよくある。聞いてるほうはめちゃくちゃ苦痛なんだけど、話の腰を折るとやたら不機嫌になったり見下されたりするので、最後まで聞くという選択肢がなくて困るやつ。
こう感じるの、自分だけかと思ってた……みんな頑張って聞いていたんだな。
こういう困った人に対しての対処法は、こちら。
p74「こちらの理解度を考えず、勝手に喋り倒す知識の塊のような人……確かによくいるのだ。そんな人たちは、知識は申し分ないが、お話が下手なのだ。知識レベルが低いこちらからできることとしては、『相手にこちらの知識レベルと目的を伝えておく』。これに尽きるのだ」中略「『知識は全くないけど、△△のために〇〇について教えてほしい』とか、目的とセットで伝えるのだ」
これ!本当にありがたかった!
話を早く終わらせたくば、こちらから最短ルートを示せということだ。
面倒くさいけど、対処法が分かるとスッキリ。
こういう人とうまくやれないのは自分がコミュ障だからだと思ってたのだけど、
むしろ相手がただの「話し下手」なのだと分かったのもよかった。
仕事ならまだしも、プライベートではなるべく関わらないのが一番いいな。
めちゃくちゃエネルギー吸い取られるから。
ずっと面白いのよ
四章「感情のカテゴライズで自分の心を分析するのだ」も、
五章「言葉の毒を解毒するのだ」も、面白かった。読んでいて心が軽くなる。
第六章 コミュニケーションを作る材料を仕入れるのだ
カップルで会話がないときは、何が足りないか?について、
p134「足りないのは、話せるだけの興味や関心、思い出や意見を捻出できる『事件』や『イベント』なのだ、だから、コミュニケーションを作るための材料を仕入れるのだ」
と答えていて、これも納得した。
何年も一緒に過ごしていると、新鮮味がなくなるのは「当然」なのだ。
だから、新しいコミュニケーションのタネを撒いて、育てることが必要になる。
これ、知らなければ普通にサボってしまうな。知れてよかった。
ついでに、片方の趣味の押し付けはおすすめしないと書かれいたのも刺さった。
これ、やってしまいがちだよな〜!ほんと、楽なほうに流れてしまう、人間……!
第九章 アドバイスには種類があるのだ
あと!第九章の「アドバイスには種類があるのだ」もスカッとした。
私たまーに相談事を持ちかけられて、そういう時は「聞き専」に徹するのだけど、
それが間違ってなかったことが書いてあって、嬉しかった。
辛いときにド正論アドバイスされると、余計に追い詰められること、よくあるのよね……
そんでタチが悪いのは、そのド正論アドバイスに悪気がないってこと……
私も、正論大好き人間だから「聞き専」はツラい。
でも悩み相談て「聞いてほしい」「共感してほしい」が、ほぼ100%なのよなあ。
余計なアドバイスをされると、人格否定されたように悲しくなったりする。
私が悩み相談を受けるときは(HSPなのもあり)、マイナスの感情が流れ込んでくる気がするから、元気な時しかやらないようにしてる。自衛、大事。
読み終えて
全章を通じて、自分が足りてなかったのは「相手を気にしすぎていた」ことだと感じた。
この本を読むまで、私はとにかく「うまく喋ろう」としてた。
でも「うまく喋ること」よりも「お互いに理解できる会話であること」が大事なのだと分かった。
もっとシンプルに考えて、よかった!
それから、ちょっと自惚れだけど「意外と自分ができてることもあったな」とも思った。
コミュニケーションも、得意・不得意が出るものなんだな。
このタイトルも絶妙だ。
会話が上手くなるコツ、とかじゃなくて、会話が上手い人の頭の中を覗き見るって感じの……知的好奇心をくすぐられるタイトル。
コミュ力オバケがつけるタイトルじゃん??
あと純粋にすごく文章が上手で、読みやすくて、没頭できた。
なんかハウツー本て、読んでると責められてるように感じるのも多いけど、これは優しく寄り添ってくれる本だった。
自分がコミュ障だと思っている人、
対人関係に悩んでいる人……
色んな人が救われる本だと思う。
ご興味のある方は是非とも、ご一読を。