Uncategorized PR

ゴールデンカムイが面白い

ゴールデンカムイにハマっている。

ヤンジャンの全巻無料キャンペーン中に読んで、

すぐ単行本を全巻買ってしまった。

何回読んでも面白い。

むしろ、2週目・3週目のほうが面白い。

 

私は漫画を読むとき、物語とか登場人物(キャラ)より、キャラ同士の関係性にハマる。

いわゆる「関係性萌え」というやつだ。

ゴールデンカムイはキャラ1人1人の魅力もさることながら、関係性がすごくいい。

 

主人公と相棒の関係性

主人公である杉元佐一と、その相棒であるアシリパさんの関係性なんか最高だ。

杉元は、10歳以上年下のアシリパさんに対して敬称を欠かさない。

自分の命を狙う者には容赦しないが、アシリパさんの「殺さなくていい人間は殺すな」という指示を忠犬のように守る(ときどき守らない)。

杉元は「アイヌ民族」で「年下」の「女性」という

明治時代に身分の低かったアシリパさんを尊重し、対等に接している。

 

アシリパさんは杉元に、アイヌたちが守ってきた自然の中で生きる術を教える。

そして2人は「金塊を手に入れるという目的」を果たすべく共闘する。

2人はれっきとした「相棒」で、その絆は年齢や性別を超えているのだ。

 

しかし。

杉元とアシリパさんが、互いに向けている感情はすれ違っている。

 

杉元は、自分は「大人」で、アシリパさんは「子ども」であるという区別がはっきりしていて、

アシリパさんに戦場に行く前の純粋な自分を見出している。

戦争で生き残るため兵を殺し「穢れてしまった」自分が、アシリパさんといることで「救われる」と感じてる。

そこに恋愛感情はなく、友情とも少し違っていて、

どちらかというと神聖視に近いものを感じる。

 

しかし、アシリパさんは違う。

アシリパさんは、杉元に対して恋愛感情を抱いている。

作中では明言されていないし、ましてや告白シーンもない。

だけどさ~~あからさまに好きなんだよな~~~!

これはアシリパさんの激かわポイントなのだが、

アシリパさんはたびたび、杉元に対して「子ども扱いするな」と言う。

杉元と自分には「大人」と「子ども」の区別がないと思っているので

一方的に「守られる存在」でいるのは、プライドが許さない。

一方で杉元が自分に向ける感情が、自分の感情とは違うことにも気付いている。

しかし、アシリパさんはアイヌの為に金塊を見つけるという目的があるため、

自分の想いが成就させようと考えていない。

 

ヒロイン不在の漫画

アシリパさんは強い。

初登場シーンで、いきなりヒグマを倒す。

杉元とアシリパさんの関係は、主人公とヒロインというよりも、互いの命を預け合う相棒である。

そこに片想いとかいう一滴の恋愛要素を足されてしまうと、私はもうだめだ。

私が人生で初めて好きになったアニメキャラは名探偵コナンの哀ちゃんなのだが、

そこで私の性癖は決定づけられた。

哀ちゃんも、組織に家族を奪われ、コナン君と「相棒」として共闘する。

そしてコナン君、いや新一君に片想いしている。

でも新一君には、蘭さんという心に決めた、たった一人の恋人がいる。

そういう描写があると、漫画を読みながら、クソでか感情を持て余して床をごろごろしてしまう。

共闘しながら相手に叶わぬ片想いをする相棒の片割れ!そういうキャラが!私はハチャメチャに好きだ!!

話が脱線したが、少年漫画や青年漫画にはヒロインが登場することが多い。

か弱くて可愛らしくて、主人公に守られるヒロイン像。

ゴールデンカムイに出てくるアシリパさんは、このヒロイン像に当てはまらない。

金塊を見つけるために旅をする過程で、ときには男たちに守られることもあるが、

男たちと共に闘い、守り、大人顔負けの交渉をする。

アシリパさんは「女性らしさ」も「子供らしさ」も求められていないので、セクハラされない(ただし屈強な男がセクハラを受けるシーンはある)。

社会的弱者の人権が守られているので、安心して物語に集中できる。

 

ゴールデンカムイに出てくる男たちも魅力的だ。

「男らしさ」以外の魅力を持つキャラが多いのだ。

特に杉元佐一は、結核で家族を失い、共に出兵した幼馴染を戦場で亡くしている。その経験から、自分のことを「役立たず」だと責め続けている。

肉体の屈強さと、内面の弱さ。そのコントラストが杉元佐一の魅力だと思う。

囚人たちも変態ばかりだが、きちんと行動原理が描かれているのもいい。

女と男、大人と子供、看守と囚人、敵と味方。

この物語では、少し前まで敵だった人物と共闘したり、敵対する囚人たちに命を助けられることもある。

固定概念や差別で断絶の起こりがちな関係を、ひとくくりにせず曖昧に描いている。

白黒つけるだけでは生きていけない人間の性を、いとおしく描いている。

ゴールデンカムイのそういうところが大好きだ。

 

2021年10月の現時点では、まだ完結していない。

はやく結末を早く知りたくてウズウズする。

でも、それ以上に登場人物たちが愛おしい。

野田ニシパ、すてきな物語をありがとう。

 

休載のとき早速作ったサンドイッチ。具は、スモークサーモンとアボカドとクリームチーズ。

 

ちなみにゴールデンカムイは休載のとき、

ファンの間で「サンドイッチを作る」という謎の奇祭があるらしい。

サンドイッチを「食べる」んじゃなくて「作る」。なんか平和でいい。